8年もの時を経て無罪判決が出ました。
1歳の保育園児を暴行し死亡させた罪に問われた元保育士・嘉悦彩子(かえつあやこ)被告は、神奈川・平塚市の中原保育園(私立認可保育園)に勤務していました。
嘉悦被告が起こした罪で間違いないように見えたこの事件。
まさかの判決に、世間では様々な反応が出ています。
こちらの記事では、嘉悦被告が無罪になった理由や冤罪だったのか、そして、事件が起きた勤務先の中原保育園の評判について調査しました。
嘉悦彩子が裁判で無罪はなぜ?
引用:朝日新聞デジタル
嘉悦被告は2017年4月27日、保育園で1歳1ヶ月の園児の後頭部を硬いものに複数回たたきつけて頭の骨を折るなどし、外傷性くも膜下出血で死亡させたとして、2021年に逮捕、傷害致死罪で起訴されました。
検察は、当時園内の保育室には亡くなった園児と嘉悦被告のみしかおらず、暴行できたのは嘉悦被告のみだったと主張してきました。
では、なぜ嘉悦彩子被告は無罪となったのでしょうか。
この事件の経緯を詳しくみていきましょう。
事件の概要
2017年4月27日 | 女児(1歳1ヶ月)が午睡中に急変(顔面蒼白) 保育者が気付き、病院に救急搬送 同日 15 時4分に搬送先の病院で死亡が確認された |
2021年 11月1日 11月19日 | 事案発生当時に園にて勤務していた嘉悦彩子被告が傷害致死の疑いで逮捕 起訴された |
2024年11月 | 初公判 「寝かしつけていたが、けがはさせてはいない」と無罪を主張 |
2025年1月16日 | 無罪判決 |
嘉悦彩子が無罪の理由1:死因を確定できず、有罪とする根拠がない
複数の医師の証言から「くも膜下出血などの傷害が死因とは認められない」とされ、「被告人が暴行の犯人であるという根拠がない」とされました。
嘉悦彩子が無罪の理由2:検察側が証人とした解剖医の証言は合理的とは言えず有罪とする根拠はない
検察側が承認とした解剖医は、「後頭部に強い力が加わったことによる、くも膜下出血などで死亡した」と証言していました。
しかしながら、横浜地裁は証人尋問した医師ら6人の証言などに基づき、後頭部の骨折やくも膜下出血などがあるものの、死因とは認められないと指摘。
16日の判決で、横浜地方裁判所の奥山豪裁判長は「検察が主張する死因は解剖した医師と小児神経外科医の証言に基づいているが、2人の医師の証言は医学的根拠を欠いていて、合理的とはいえない」などと指摘しました。
東京新聞
そのうえで「死亡した原因が頭の傷害によるものとは認められないため、暴行を加えた犯人として有罪とする根拠はない」として無罪を言い渡しました。
また、死亡した午後3時ごろの12時間以上前に受傷した可能性にも触れました。
奥山裁判長は「(女児には)くも膜下出血が認められる」と述べる一方、医師の証言から「出血は(容体が急変する)12時間以上前に生じた可能性が否定できない」などと指摘。女児が出血で死亡したとは認定できず、被告と女児が一緒に居た時間帯に出血したとも言えないと判断した。
JIJI.COM
検察側が十分な証拠もない中、起訴したような印象ですね。
嘉悦彩子は冤罪だった?
嘉悦被告は、2024年11月の初公判で「寝かしつけていたが、けがはさせてはいない」と一貫して無罪を主張していました。
しかし、検察側の証人である解剖医は「園児の後頭部に大きな力がかかり脳挫傷で即死した」などと証言し、検察は懲役10年を求刑していました。
2025年1月の判決では、脳挫傷は「解剖時に生じた傷とみるべき根拠がある」とし医学的根拠を欠くなどと指摘。
「有罪とする根拠はない」としました。
亡くなった園児について
亡くなった園児は、23週で生まれた早産児でした。
通常は40週で出産ですので、奇跡的な生還と言えますね。
その後も遅れはありますが順調に成長を遂げていました。
本児は在胎 23 週1日の早産児(出生時体重 546 グラム)であり、出生3日目には頭部
平塚市内の認可保育所における乳幼児死亡事案に関する検証報告書(令和5年5月)
に脳内出血が確認された。生後5か月までは新生児集中治療管理室(NICU)、新生児回復
室(GCU)に入院していた。
その後は、生後6か月で首が据わり、生後8か月の体重は 5,440 グラムであった。
事案発生時は、本児は座位が取れず、寝返りはできるが戻ることができない状況であ
った。また、適宜、医療機関の発達外来を受診していた。
なお、事案発生当時(平成 29 年4月 25 日時点)の身長は 70.0 センチメートルであ
り、体重は 6,875 グラムであった。
2017年2月に入園した園児。
3月で1歳になり、本来であれば4月から1歳児クラスのはずですが、発育状況を考慮し4月からも0才児クラスに所属していました。
寝かせると泣いてしまうため膝に乗せたり抱っこしなければならず、園では保育者が常に1人この園児に対応している編成を組んでいました。
また、亡くなる5日前から体調不良で欠席しており、園では服薬していませんが自宅で服薬していたことも後にわかっています。
このような理由もあり、「突然死」「自然死」の可能性も高いと判断されたのかもしれません。
嘉悦彩子の事件発生当時の状況
引用:平塚市内の認可保育所における乳幼児死亡事案に関する検証報告書(令和5年5月)
嘉悦彩子被告は、事件発生直前に1人で5人の0才児クラスの園児を見ていました。
具体的には、一緒に見ていた看護師が調乳のため部屋を出たため1人になってしまった状況です。
お昼寝の時間は、園児が寝ているため保育士は事務作業や掃除などのため退室することも多いです。
12:50 | 午睡(入眠) ・入眠までに時間のかかる5人(本児含む)を一時保育室で午睡させる。 ・職員(保育士A、保育士B及び看護師)が5人の園児一人ひとりを一時保育室に移動させる。 ・園児の移動後、保育士Bが退室し、保育士Aと看護師が寝かしつける。 ・本児は入眠までに時間がかかるため、この日もなかなか入眠しなかった。 ・本児の配置は、保育士Aの斜め前に位置していた。 ・保育士Aが他園児を抱き、ミルクを飲ませる。 ・ミルクが足りなくなり、看護師は調乳のために数分間退室する。 |
13:00 | ・保育士A及び調乳を終えた看護師が一時保育室にて保育中、保育士A及 び看護師が本児の異変(顔面蒼白)に気付く。 |
引用:平塚市内の認可保育所における乳幼児死亡事案に関する検証報告書(令和5年5月)
保育士Aが嘉悦彩子被告です。
嘉悦被告が1人になった数分の間にどのようなことがあったかは、防犯カメラなどがないためわかっていません。
亡くなってしまった園児は布団の上で泣いていた可能性が高いでしょうし、0才児クラスとは言え既にハイハイしたり歩ける子もいたかもしれません。
嘉悦被告が目を離した隙に、亡くなった園児が寝返りをして戻れなくなっていたかもしれませんし、他の園児がぶつかったということも考えられます。
このような状況を考えると、「冤罪だったのでは…?」と想像することもできますね。
嘉悦彩子の勤務先の中原保育園の評判は?
嘉悦彩子被告が勤めていた平塚市の中原保育園の評判は、保護者、保育者ともにあまり良くないと言えます。
保護者の評判
グーグルのクチコミは、☆2.4
☆1つも多く
「最悪です」(1週間前)
「劣悪。☆1にも満たない。転園しました」(7年前)
と言った内容もありました。
しかしながら、ウェブ上のレビューを見ていると、好意的なクチコミもありました。
引用:HOICIL
事件を受けて、防犯カメラも全室につけたのかもしれませんね。
保育者の評判
引用:保育ひろば
ウェブ上のレビューでは、☆2.7
管理職との関係や保育方針に疑問をもっている保育士が多いようです。
園庭や園舎の造りも、とても綺麗に見えますが働く中で不便なこともあるようです。
実際、調乳室も保育室から遠かったですよね。
中原保育園は、今回の無罪判決を受けてホームページにコメントを記載していました。
嘉悦彩子の無罪判決に対する世間の声は?
嘉悦彩子被告の無罪判決に対して、判決に憤りを感じている方、検察に対して憤りを感じている方、無罪で良かったと安堵している方など、様々な反応が見られました。
「元保育士の嘉悦彩子被告(49)は
— potato_nao (@potatonana7) January 16, 2025
2017年4月、平塚市内の保育園で1歳の柳田彩花ちゃんの頭を硬いものに複数回叩きつけて、頭蓋骨骨折に伴うくも膜下出血で死亡させた罪に問われています。」
本当に意味が分からない、、
司法って何
状況証拠では黒に近いグレーだけど、肝心の「解剖医の証言が合理的」とは言えず、疑わしきは罰せずといった感じでしょうか…
— 遠藤登 @ 保育安全のかたち (@NurseryOnline) January 17, 2025
【判決】認可保育園で1歳児に暴行加え死亡…元保育士の嘉悦彩子被告(49)が無罪に「有罪とする根拠はない」 横浜地裁 #FNNプライムオンラインhttps://t.co/ICpqnSasin
記事だけ読んだら司法の崩壊じゃん…
— 🦋 (@1torichiumkya9) January 16, 2025
なぜ1歳の子が亡くなったの?
嘉悦彩子被告じゃないならだれが容疑者なの? https://t.co/z98CDdwWc0
私も前回の審理から傍聴してました。 私は無罪だと思っていました。 1歳児は身体が弱かったそうです。やはり突然の自然死でしょう。誰が犯人でもないです。無罪判決がでて本当に良かった!
2017年に事件発生→2021年に逮捕・起訴→2025年1月16日に無罪判決 この年数を見る限り、まともな証拠が無く、裁判員の感情論に頼って起訴した…という意図が見え見え
裁判傍聴しました。 色々な医師の証言を聞く限り、暴力による死亡ではないと強く思う内容でした。 無罪判決が出てホッとしています。
もしこれが自然死だったとしたら検察はとんでもない失態をおかしてしまった 8年間と時を返してほしい
嘉悦彩子が裁判で無罪はなぜ? まとめ
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
こちらの記事では、元保育士の嘉悦彩子被告が裁判で無罪になった理由や冤罪の可能性、また事件が起こった平塚市の中原保育園の評判について調査しました。
検察が主張していた園児に対する残酷な行為のため、嘉悦被告にはかなりひどいバッシングが浴びせかけられました。
防犯カメラの映像など徹底的な証拠がないため、真実は迷宮入りしています。
しかしながら、医師や現場の状況、園児の体調などを考慮すると検察が主張していた嘉悦被告の行為は実際には行われていなかった可能性の方が高いように感じます。
今回嘉悦被告が無罪になったことで、遺族の方にとっては辛い結果になってしまったでしょう。
入園してからたった3ヶ月で起こってしまった事件。
保育園と保護者との信頼関係が構築されていたら、嘉悦被告には違う未来があったかもしれませんね。
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